三人を乗せたSUVが南西方面に進む。降雪はいくぶん勢いを緩めたものの、轍(わだち)を挟んで積もった雪だまりは泥の色を含みながら溶けずに残っている。
雪の降り方はますます激しくなってきた。東京の道路には珍しく、路肩はすっかり積雪で覆われた。さすがに車線はアスファルトが顔を覗かせているが、表面はきらきらと乱反射しているところを見ると、部分部分で凍結しているようだ。
ほんの少し両手を広げて深呼吸してみた。
無数の雪片が天から降ってきて、頬や髪や手に落ちては溶ける。
空を見上げる。街灯の光の中で、大きな雪の粒が乱舞していた。雪の照り返しを受けて、心なしか街灯が明るくなっているように思えた。