四月の初めまでぐずぐずとみぞれまじりの空模様が続いたが、ときおり正気に戻ったかのように、明るい日差しが空いっぱいに満ちあふれる日があった。やがて、三寒四温の言葉通りに、寒い日とあたたかな日が数日ずつ交互にやってきて、四月も終わりに近づいた…

あ……あ……あ……あ 紫紋の口が、全身が、わなわなと震えだした。開いた口から、声にならない声がこぼれ落ちる。 あ……あ……あ……あ 原田マハさんのまぐだら屋のマリアより

海から吹きつける強い風に、シーツがあおられるようにして雪が舞い上がる。傘は差していても役に立たないので、畳んでしまった。 原田マハさんのまぐだら屋のマリアより

銀色に広がる雪景色の真上には、凍(しば)れる空の青がしんとして広がっていた。 原田マハさんのまぐだら屋のマリアより