春の表現、描写を小説から学ぶ
「こんなにいい天気ですから大丈夫ですよ」 たしかに、庭はうらうらとあたたかそうだった。
はぁ、とため息をついて窓を見上げると透明な青い空。綿のような白い雲が漂い、四月の風が淡い緑の木の葉を揺らしていた。 99のなみだ・蛍
四月の初めまでぐずぐずとみぞれまじりの空模様が続いたが、ときおり正気に戻ったかのように、明るい日差しが空いっぱいに満ちあふれる日があった。やがて、三寒四温の言葉通りに、寒い日とあたたかな日が数日ずつ交互にやってきて、四月も終わりに近づいた…
淡いグレーの空の下、雨にそほ濡れてもめいっぱい枝を広げる霞のような桜の群れは、しんとして美しかった。 原田マハさんの旅屋おかえりより
駅から続く一本道に、確かに桜並木があった。ソメイヨシノは雨に濡れそぼって、七分咲きの枝をさびしげに揺らしていた。 原田マハさんの旅屋おかえりより
すがすがしく晴れ渡った青空のもと、桜はこの日を待ったように満開だった。 原田マハさんの本日は、お日柄もよくより
絢爛と花を咲かせている桜が、はらはらと音もなく花びらを散らし、池の上に白い帯を作っていた。 原田マハさんの総理の夫より
重苦しいコートをすっかり脱ぎ捨てて、どの顔も春風にほころんでいる。 原田マハさんのキネマの神様より
満開の桜は、指先で触れようとするかのように、水に向かって枝を伸ばしている。枝から散り落ちた花びらが水面に白い帯を作っている。白絹を広げたように、うつろいながら、花びらの帯は一輝たちの足下に流れていった。 原田マハさんの異邦人(いりびと)より
美術館の南側には疎水が走っていた。水路沿いに桜が薄雲のように群れて、揺れている。 「わあ、すごい。桜が、あんなに」 原田マハさんの異邦人(いりびと)より
春の空の表現 「すごいねー、いい天気」 自転車を漕ぐ方向に開けている空には雲一つない。春先ならではの淡い空の色だ。 有川浩さんの植物図鑑
駅から伸びる緩やかで長い坂道。もうすぐ春を迎える空から、暖かい日差しが遠慮がちに降っている。 瀨尾まいこさんの戸村飯店 青春100連発より