2021-06-13から1日間の記事一覧
朝、ふかふかのふとんの中で目覚めて、カーテンを開ける。太陽が昇って、青空をすみずみまで照らしている。うんと気持ちいい、楽しい一日が始まる。 原田マハさんの翔ぶ少女より
丹華は、目を閉じて、一心に記憶の糸をたぐり寄せた。 原田マハさんの翔ぶ少女より
丹華は、自分で自分の肩をぎゅうっと抱きしめて、小さく小さく縮こまって、ただ震えることしかできない。怖くて、苦しくて、気持ち悪くて、酸っぱいものがこみ上げてくるのだった。 原田マハさんの翔ぶ少女より
目が合った瞬間、丹華の胸が、ことん、と音を立てた。小さな箱の中でビー玉が転がったような、ささやかな音。けれど、確かに、体のすみずみまで響き渡る音。 原田マハさんの翔ぶ少女より
「よお、ニケ!」 笑顔になって、名前を呼んでくれた。ただそれだけで、丹華は、背中に翼が生えたように、舞い上がりそうな気持ちになるのだった。 原田マハさんの翔ぶ少女より
丹華は、顔を上気させたまま、小さくうなずいた。そして、復興住宅の裏にある、小さな運動場へと駆けていった。 丹華の小さな胸が、リズミカルにときめいている。 もうすぐ、会える。陽太君に、会える。 原田マハさんの翔ぶ少女より
ふすまが少しだけ開いていて、そこからとなりの部屋の明かりが漏れ、ふとんの上に細長い筋を作っている。 原田マハさんの翔ぶ少女より
ゼロ先生が、ぐっと息をのんだ。ふたつの影の片方が、枯れかけたひまわりのように、うなだれた。 原田マハさんの翔ぶ少女より