2020-04-30から1日間の記事一覧
冬陽の中に、淀川が鈍色(にびいろ)に光りながら、悠々と流れている。京都桂川から延々と続き、大阪湾に注ぐ。いずこも水量が少くなる冬でも、大阪の母なる川は、たっぷりと緩やかに流れている。 山崎豊子さんの沈まぬ太陽 会長室篇 上より 沈まぬ太陽(4(会…
関西紡績六階の会長室からは、淀川が見下せ、鉄橋を往来する車の流れが、帯のように見える。曾て、世界一を誇った綿加工工場も、今は本社の建物と、グラウンドを残すのみで、昔日の俤(おもかげ)はない。 山崎豊子さんの沈まぬ太陽 会長室篇 上より 沈まぬ太…
女子社員が運んで来た日本茶で、咽喉を潤してから、国見は切れ長の眼に、躊躇いを滲ませながら、切り出した。 山崎豊子さんの沈まぬ太陽 会長室篇 上より 沈まぬ太陽(4(会長室篇・上))posted with ヨメレバ山崎豊子 新潮社 2002年01月 楽天ブックスAmazo…
富士山は五合目まで、雪を頂き、広い裾野の稜線までくっきり浮かび上がっていた。 上京する新幹線の窓外に富士山の秀麗な山容が見えると、国見は、手にしていた西行の伝記から眼を離し、富士山を眺めた。 山崎豊子さんの沈まぬ太陽 会長室篇 上より 沈まぬ太…
亜紀子は白い咽喉もとを見せ、ブランディを含みながら、笑った。 山崎豊子さんの沈まぬ太陽 会長室篇 上より 沈まぬ太陽(4(会長室篇・上))posted with ヨメレバ山崎豊子 新潮社 2002年01月 楽天ブックスAmazonKindle7net ebookjapan