2022-01-04 目脂(めやに)の底に沈んだ瞳を畳の一点に落としていた 視線、眼差しの表現、描写 父は娯楽室にいた。壁に向かってだらしなく胡座をかき、目脂(めやに)の底に沈んだ瞳を畳の一点に落としていた。薬が効いている。年を追うごとに量を増す薬が、父の言葉や表情や癖までも一つずつ奪ってきた。 横山秀夫さんの動機より