2020-12-22 湿った突風が菜穂の中に巻き起こった 感情の表現、描写 一滴の血すらも分けなかった菜穂を、三十年余り自分の娘として育て、接してきた。それは動かしがたい事実であった。 それに気づいたとき、湿った突風が菜穂の中に巻き起こった。心がぐらりと母に向かって傾いてしまいそうだった。 原田マハさんの異邦人(いりびと)より