ジープを降りた瞬間、甘い香りに抱きしめられた。ぎゅっと抱きしめられるというよりは、ふわりと包み込まれるような感じ。 小川糸さんのにじいろガーデンより

水の中では、母さんと千代子さんが歓声を上げながらふざけていた。地元の子供たちと一緒に、宝が水をかけ合いっこしている。その度に、水面が光のビーズをまき散らしたように輝いた 小川糸さんのにじいろガーデンより

窓の向こうでは、いよいよ夕陽がまぶしい光を放っている。はちみつ色の光を浴びた千代子さんの髪の毛が、ススキの穂のように輝いていた。 小川糸さんのにじいろガーデンより

千代子さんが、薄く微笑む。指先でちょっとでも触れたら、とたんに壊れてしまいそうなほど、儚い笑顔だった。 小川糸さんのにじいろガーデンより