2020-05-01から1日間の記事一覧
「もう出るわ、そこのバスロープをとって」 扉のフックにかけてある、小花模様のバスロープを指して、たち上がった。ほっそりとした首筋から豊満な胸、くびれて締まった腰、長い脚ー、ピンク色に染まった亜紀子の体に、行天は昴りを覚えたが、亜紀子は渡され…
すべてが、総理の"影の参謀"龍崎一清によって仕組まれていた。国見は、先程でにこやかだった龍崎の顔が、感情の消えた冷ややかな能面のように変わっているのに気付いた。 山崎豊子さんの沈まぬ太陽 会長室篇 上より 沈まぬ太陽(4(会長室篇・上))posted w…
薄っすらと口紅を引いただけだが、丸みのあるきれいな額、はっきりした目鼻だちの亜紀子には、ショートカットがよく似合い、三十九歳の年齢よりずっと若々しい。 山崎豊子さんの沈まぬ太陽 会長室篇 上より 沈まぬ太陽(4(会長室篇・上))posted with ヨメ…
羽田は、まだ薄暗く、肌を刺す寒風が吹きつけている。乗客たちは風を避けて、タラップを駆け上がって行く。 山崎豊子さんの沈まぬ太陽 会長室篇 上より 沈まぬ太陽(4(会長室篇・上))posted with ヨメレバ山崎豊子 新潮社 2002年01月 楽天ブックスAmazonK…
鼻筋が通り、眼に鋭い光を湛え、唇を固く引き結んでいるが、頬のあたりに翳りが見える。だが長い不遇の日々故のいじけた様子は、いささかも見られない。 山崎豊子さんの沈まぬ太陽 会長室篇 上より 沈まぬ太陽(4(会長室篇・上))posted with ヨメレバ山崎…
岩合の八の字の太い眉、六十三歳とは思えぬがっちりと顎が張った艶やかな顔に、恍惚とした表情が浮かんだ。 山崎豊子さんの沈まぬ太陽 会長室篇 上より 沈まぬ太陽(4(会長室篇・上))posted with ヨメレバ山崎豊子 新潮社 2002年01月 楽天ブックスAmazonK…