「わあ、あたし、どこを見せてもらおうかな。大きなお屋敷だし、迷っちゃいそう」楓が両手の拳を胸の前で合わせ、嬉しそうな声を発した。 東野圭吾さんの危険なビーナス
牧雄は五十代半ばのはずだった。頬骨が出て、顎が張った顔は昔のままだ。ぎょろりとした目は、何かを凝視しているようではあったが、楓を見ているわけではなさそうだった。 東野圭吾さんの危険なビーナス
「あら、海外の話をしたいなら、いくらでも付き合うわよ。この間だって、ドバイに行ってきたんだから」祥子が対抗するようにいう、 「そうですか。だったら、今度是非」優磨は受け流し、ふっと口の端を曲げた。 東野圭吾さんの危険なビーナス
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