エミリ小さな包丁 「神様って本当にいると思う?」 神社でそれを訊くのはどうかとも思ったけれど、あまり信心深くはないわたしは、さらりと訊いてみた。すると、おじいちゃんは、拝殿の奥の方を見つめたまま、ぼそっと答えた。 「神様ってのは、自分自身のこ…
エミリ小さな包丁 書き出し わたしには武器がある。 キーンと音が鳴りそうなほどに研ぎ澄まされた出刃包丁だ。 斜め掛けにしたショルダーバッグのなかにこっそり忍ばせて、わたしはいま見知らぬ住宅街を歩いている。「あの人」が暮らしている街を、ゆっくり…
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