なつかしい風情の入り口の引き戸の横に、土色の肌の大きな壺が置いてあり、大ぶりの紅葉の枝が投げこんである。いとも自然に、形よく。染みるようなその赤をみつめるうちに、これは廃屋でも民家でもない、何かの店だ、と紫紋は気づいた。ゆっくりと顔を上げて、引き戸の真上に掲げてある木製の看板の流れるような手書き文字を目で折った。
ま……ぐ……だ……ら……屋……
なつかしい風情の入り口の引き戸の横に、土色の肌の大きな壺が置いてあり、大ぶりの紅葉の枝が投げこんである。いとも自然に、形よく。染みるようなその赤をみつめるうちに、これは廃屋でも民家でもない、何かの店だ、と紫紋は気づいた。ゆっくりと顔を上げて、引き戸の真上に掲げてある木製の看板の流れるような手書き文字を目で折った。
ま……ぐ……だ……ら……屋……