とりちらかった床板の酒や肴にまみれて、老人はぼんやりとサッシ窓の小さな冬空を仰ぎ見、白い太陽のありかに目を細めながら、ひとしきり胸を膨らませると、そのまま動かなくなった。 浅田次郎さんの日輪の遺産より
ママは、そのまま何も言わずに旅立った。最後くらい、一言でも何か言い残してくれたらよかったのに、呆気ないほど自然に、まるで枯れた葉っぱが枝から離れて落ちるみたいに、ある朝、ふわりと静かに息を引き取ったのだ。 小川糸さんのにじいろガーデンより
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