月の描写を小説から学ぶ
太った三日月が、夜空に明々と浮かんでいる。 原田マハさんのカフーを待ちわびてより
星は見えなかったが、代わりに眉のような月が浮かんでいた。新月は四日後だ。 東野圭吾さんのクスノキの番人より
ときおり吹き渡る夜風が潮の香りを運んでくる。少し太った半月が漆黒の空にぽっかり浮かんでいた。 原田マハさんのリーチ先生
細く痩せきった月が、今にも落ちそうな角度で夜に引っかかっている。 凪良ゆうさんの流浪の月より
雲が切れて丸い月が頷く。雲が流れて月が隠れる。空は最前からずっとそんな調子で、白んだり深い灰色になったりと、落ち着きがない。 葉桜の季節に君を想うということより
窓からさしこんでくる月の光は様々な事物の影を長くのぼし、まるで薄めた墨でも塗ったようにほんのりと淡く壁を染めていた。 村上春樹さんのノルウェイの森より
月の表現 まだまだ夜が凍りつく、冬終わりかけの休日前夜。 白く霞んだ夜空には朧月。 有川浩さんの植物図鑑
三日月の表現 空は、もう暮れ始めている。先生の右肩の上に、白い月が見えた。 今日の月は、笑っている。にっこりと。ハンモック見たいに口を左右に大きく広げて。私には、両方のほっぺにくっきりできた、えくぼの形までが目に浮かぶようだった。 小川糸さん…
十五夜の表現 空を見上げると、懐中電灯のように、月がこうこうと夜空を照らしている。ほぼ完璧な円に近い。もしかしたら、今夜は十五夜かもしれない。木々の葉っぱが、月明かりを受けてぼんやりと浮かび上がっている。 小川糸さんのつるかめ助産院より
月の表現 東の空に、中途半端な形の月がポカンと浮かんでいるのが見える。 小川糸さんの食堂かたつむりより
空はとても奇麗だった。雲が一つも見当たらず、深い海の底のような、青味がかった黒が一面に広がっていた。その空の真ん中に、タマゴボーロみたいな月が黄色く浮かんでいた。 道尾秀介さんの 向日葵の咲かない夏より 向日葵の咲かない夏posted with ヨメレバ…
白く輝く月が、中天から光を投げかける。穏やかな光は私を暖め、心の中に積もるもやもやした思いを、ゆっくりと浄化していくようだった。 堂場瞬一さんの被弾より