男はカウンターにいる大上を見つけると、垂れ目がちの目尻をさらに下げて、嫌な笑いを浮かべた。 柚月裕子さんの孤狼の血より
なかにしまわれた暖簾をくぐり、にやけ顔の男が入ってきた。歳は三十後半か。ハーフを思わせる彫りの深い顔立ちだ。整髪料で固めた髪をオールバックにして、派手な開襟シャツの胸元には、金色のネックレスをぶら下げている。 柚月裕子さんの孤狼の血より
真っ直ぐに伸びた背筋と、風雪に耐えた古仏を思わせる風貌は、ただならぬ威厳を放っていた。 眉は太く、眼光が鋭い。深く刻まれた皺と真一文字に結ばれた唇は、強靭な意志を感じさせる。 柚月裕子さんの孤狼の血より
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